社会保険労務士法人 HMパートナーズ
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#1 給料減額の可否は?
ある日、顧問先D社の人事ご担当者、Tさんからメールが届きました。
曰く「今回の給与改定に伴い、社員と問題が生じています。給与改定の手続に問題点がなかったかどうか、お伺いしてご相談したいのですが、お時間をいただけないでしょうか?」とのこと。
(D社は、社長の人柄もあり、どちらかといえば社員に対して厳しい姿勢を求めることはあまりしない、やさしい社風であると認識していたので、少々意外な感じがしました。)
それは大事なことですので、早めに時間を調整してお話しを伺うことにし、メールの翌日に私どものオフィスにお越しいただくことになりました。
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さて当日、Tさんがお見えになりました。
Tさん:お世話になります。お時間をいただいてすみません。
岩沢:いいえ。どうぞおかけになってください。
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Tさん:早速ですが、相談に乗ってください。
ご存じの通り、先日当社では給与改定を行いました。その結果を直属の上司が面談して伝えたのですが、社員のUさんがとても不満を持っているようなんです。
岩沢:なるほど。どういうことなんですか?
Tさん:Uさんの場合、給料をかなり減額しました。金額にして5万円以上、率にして20%強です。この措置自体、何か法律的に問題はありますか?
岩沢:懲戒による減給処分については、労働基準法第91条に定めがあります。
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(制裁規定の制限)
第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
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岩沢:今回のお話しは、懲戒ではなく、対象期間中の仕事ぶりを評価して、その結果として降給したということですよね?
この場合、その降給が客観的に見て妥当性があるかどうかが問われます。
まずは、会社と労働者の間での契約がどうなっていたのか?給料についてどういう約束をしていたか?ということです。
給料が減額になることが予見できないような状況においていきなり下げてしまったら、それは約束違反ということになり、いわゆる不利益変更の問題になります。
そうではなく、人事制度により評価の基準や給与改定のルールが決まっていて、そのルールに則って給与改定が行われたということであれば、元々その基準により給料は上がるかもしれないし下がるかもしれないという約束だったということになりますので、問題はありません。
それ以外のケースであれば、例えば人件費に手をつけないと会社の経営が傾いてしまうとか、仕事の内容が大きく変わってその内容に見合った給料に変更したとか、降給するのに十分な理由がある場合は認められることがあります。
Tさん:なるほど。では、この下げ幅だといいとかダメとかいうことではなく、きちんと理屈が通っているかどうかということなんですね・・・
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