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人事制度の基本構造
会社の存在意義は事業目的を達成することにあります。
そして、事業目的を達成するためには何をどのようにして行うべきなのか、そのための戦略を立案することになります。
経営戦略を立案したら、その戦略を実行するための組織を設計し、その組織に見合った社員を雇い入れ、事業を進めていく。
これらの関係性に連動して、社員を会社に惹きつけ、公正に処遇し、働く動機づけを行うのが「人事制度」です。
つまり「人事制度」とは、会社が経営戦略を実行するための、人事上の様々な施策が有機的に結合した集合体と言うことができます。
そして、人事制度のうち中心的な役割を果たすものが、「等級制度」「報酬制度」「評価制度」です。
等級制度の考え方
例えば、さほど知識や経験を必要としない業務に従事している社員と、高度な知識や経験を必要とする業務に従事している社員とを、同様の基準で処遇することはできません。
また、上司に指示された通りに動くだけの社員と、多くの部下をマネジメントしている社員とを、同様の基準で処遇することはできません。
等級制度とは、上記のような理由により、同様の基準により処遇すべきまとまりごとに、給料等の報酬の範囲を定めて等級を設定し、その基準に応じて社員を格付けし処遇する制度です。
評価制度の考え方
会社の事業目的を達成するため、経営戦略にのっとり、各社員が事業活動に従事します。
会社は、各社員の活動が望ましいものであれば奨励し、問題があれば改善を促すといったフィードバックを行いながら会社全体を統率していきます。
そのフィードバックが「評価」です。
まずは、会社が社員に求めること(=評価基準)を明示します。ここでどのような基準を採用するのか・・・能力なのか、行動なのか、結果なのか・・・などといったことは、その会社の経営戦略に応じて決定されます。
そして、その基準に照らし合わせて、良かったのか悪かったのかメッセージを伝えます。言い換えると、会社の意図と個人の活動のベクトルを合わせる作業を行い、次の活動に活かしていくサイクルを築き上げていくのです。
報酬制度の考え方
会社から社員に対して与えるメッセージには様々なスタイルがありますが、その中でも報酬は一番強いメッセージとなります。
どんなに賞賛しても報酬に反映されなければ実感がわかないかもしれません。また厳しい言葉で叱責しても、報酬のダウンがなければ身にしみて堪えないかもしれません。
そのようなメッセージを、経営戦略に沿った形でどのような与え方をするのか、それが報酬制度だと言えると思います。
給与改定のロジックはどう設定されているのか、賞与の算出方法はどう組み立てているのか。
また、歩合給や褒賞金などの短期インセンティブ、退職金や企業年金、ストックオプションなどの長期インセンティブ、その他「地位」「重要な任務」「学習機会」「福利厚生」などといった非金銭的なものまで含めて、自社に合う報酬制度を設計していく必要があります。
制度間の関連性
等級制度、評価制度、報酬制度は、それぞれが密接に有機的に結合し、一体となって人事制度を形作っています。
・報酬は等級の基準により評価結果が反映され決定される
・等級は報酬により区分され評価結果により格付けされる
・評価は等級に応じてレベルが定義され報酬への反映により強いメッセージとなる
当然のことながら、制度間において矛盾がなく、理念や考え方が統一されていなければなりません。
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