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#8 ユニオン側からの提案!


第2回目の団体交渉の続きです。このまま平行線をたどるのかと思いきや。。。

Sさん:。。。そちらの主張したい内容は理解しました。ただ。。。このままではYさんと会社の認識の溝は埋まることはなさそうです。

岩沢:。。。。

Sさん:そこで提案があります。これはあくまで私個人の私案ですが。。。会社からYさんに7月末日にて契約を終了すると伝えたのは、7月半ばです。ですので、伝えてから1ヶ月分、8月半ばまでの賃金を会社から支払っていただけませんか?すでに7月分は通常通り支払っていらっしゃいますから、実質半月分ということでしょうか?雇用保険のことは実態からいって無理なので、取り下げさせていただきます。

岩沢:いや、こちらにはそのような金額を支払わなければならないという認識は一切ありませんよ。

Sさん:わかっています。この金額は法的に会社が支払う必要があるものではありませんし、金額そのものにも根拠はありません。何かの行き違いであるとは思いますが、会社がこのトラブルを引き起こしたことに対する誠意として支払ってもらうというわけにはいきませんか?

岩沢:!!

Sさん:もちろんこの話に応じていただければ、Yさんと会社の間には一切の債権債務が存在しないという書面を交わさせていただきます。

岩沢:誠意って。。。。こちらとしては何も落ち度がないと認識しているわけですから、こちらから誠意を見せるっていうのは納得いきませんね。

Sさん:わかっています。ただ、このままいったら話は平行線のままです。この提案でまとまらないのであれば、私どもユニオンとしては手を引かざるをえません。

(ついにユニオンが折れてきました。)

岩沢:団体交渉に当たり、私はKさんに確認をしています。会社としては、自分たちが何も悪いことをしていないのに譲る必要は一切ない。。。そういう考えだということを。

Sさん:。。。。

岩沢:ただ、せっかくのご提案ですので、持ち帰ってあらためて検討させていただけませんか?

Sさん:わかりました。私の方も、Yさんにこの条件でいいかどうかの確認を取っておきます。

・・・・

2回目の交渉は、このような形で終わりました。

岩沢:ちょっとびっくりしましたが、あくまでSさんの私案ということですから、Yさんがどう思っているかどうかわかりませんね。

Kさん:どう思いますか?

岩沢:これまでの情勢を考えれば、仮に裁判になったとしても、こちらが一方的に負けるようなことはあまり考えにくいですね。ただ、Yさんが感情に任せて何か仕掛けてきたりして、これ以上手当取られるのも嫌な気がします。

Kさん:そうですね。

岩沢:急いで結論を出す必要はありません。まずはじっくりと考えてみてください。SさんはYさんと話をして、その結果がどうだったか連絡をくれると思いますから。

Kさん:わかりました。

・・・・・

この時点で、ユニオン側もYさんが自分に有利なように事が運ぶようかなりいい加減な話をしていることや、A社が決して労働者を不当に扱っていないことを認識していること。

そして彼らの立場上、労働者から相談を受ければ話を受けざるをえず、受けたからには自分たちできちんと話をまとめたいと考えている節がうかがい知れました。

しばらくSさんからの連絡を待ち、状況を静観することになります。

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