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#6 第1回団体交渉!


いよいよ団体交渉の当日になりました。こういうことは時間の前から勝負が始まります。Kさんとは早めに待ち合わせをして、再度この交渉の場での方針を確認し、指定の時間よりかなり早めに会場である区民会館に行き、交渉用に机を配置するなど、しっかりを準備を整えてSさんを待ちます。この交渉の場は、こちらがしっかりと主導権を握って進めるべく気合を入れて。

「こんにちは。」時間より5分遅れでSさんが来ました。机は向かい合わせに並べているので、各々一方の席に着きます。

Sさん:このような席を設けていただき、ありがとうございます。では、団体交渉を始めさせていただきます。

岩沢:前回そちらの要求を伺いましたから、それに対する反論を述べるということから始めさせていただいてよろしいですか?

Sさん:はい、わかりました。

(いざ、勝負!)

岩沢:Yさんは1月末に入社し、6月末までは9時から17時まで、週5日勤務という条件だったものが、7月に入って変更させられたということでしたよね?

Sさん:はい、そうです。

岩沢:そもそもそれは間違いです。1月と2月は10時半から15時まで、週4日勤務でしたよ。

Sさん:えっ!?

岩沢:これが証拠です。就業月報とシフト表です。当初は週20時間未満の勤務ですから、そちらがおっしゃる雇用保険の加入要件も満たしていませんよね?

Sさん:。。。。

岩沢:Yさんから何を聞いていたんですか?そもそもの前提がウソじゃないですか?

Sさん:いや、ちょっとそれは。。。

(先制パンチが効いたようです。ここで畳みかけます。)

岩沢:当初会社は10時から17時で勤務できる方を募集していたそうですよ。それをYさんの「子どもの学校の行事があるので」という希望を聞き入れて、わざわざ10時半から15時に変えたそうじゃないですか。

Sさん:。。。。

岩沢:ご存知だと思いますけど、飲食業界は一般に定着率が低いので、この業界ではパートさんは1ヶ月更新が常識なんですよ。入社時にもそういうことを前提にお話しをしていたと、入社当時面接をした者にも確認をとっていますけどね。

Sさん:本人は最初から期間の定めはなかったと言っています。

岩沢:本人が後からどう言おうが、実際の運用がきちんと1ヶ月更新になっていたんですよ。A社は基本店長が、場合によっては社長のKさんを含めて、毎月月末に全スタッフと面談をしています。Kさんは社員にとって働きやすい職場環境を整えたいというお気持ちがありますから、「今月1ヶ月働いてみてどうでしたか?」というヒアリングから始めて、翌月の勤務をどうするのか話し合っています。

Sさん:。。。。

岩沢:もちろんYさんに対しても、毎月月末になれば面談をしています。Yさんについては本人の希望もあったので、ほぼ毎月勤務条件を変えています。ある意味会社はYさんのわがままをできるだけ聞き入れてきたんですよ。このシフト表と就業月報を見てください。

Sさん:。。。。

岩沢:Yさんとは誰が何月何日にどういう話をして、どういう条件になったかという記録も紙にまとめていますよ。

Sさん:。。。。

岩沢:これがどういうことかわかりますよね?A社もまだしっかりしてないところがあって、入社当初は書面を交わすことはしていなかったですよ。ただこうして毎月次月の労働条件を話し合って決めていたわけですから、実態としては1ヶ月更新の契約だったということです。それはYさんもわかっているはずですよ。

Sさん:いや、それは。。。

岩沢:ご存知ですよね?雇用契約は口頭でも成立することくらいは?

Sさん:もちろん、そんなことは知っていますよ。

岩沢:つまり、この契約は元々1ヶ月という期間を定めた契約だったということ。そして、7月に結んだ契約書は元々の契約内容を書面に落としただけだということです。そこに不利益変更はありません。

Sさん:。。。。

岩沢:そして、Yさん以外は変なことを言ってきません。これはつまり、みなさん契約期間の定めのある契約だということを認識していたということです。

Sさん:わかりました。その辺りは本人に確認します。シフト表と就業月報はいただいていってよろしいですか?

岩沢:どうぞ。では、まずはSさんからYさんに確認してもらってということですね。この部分が他のすべての前提となっていますから。Yさんの返事を待って、それから次に進めるしかないですよね?

Sさん:はい、まずは確認して、こちらから再度連絡いたします。

・・・・・

1回目の対決は、このような形で幕を引きました。こちらには手札をいくつも残したまま、相手にはかなりの打撃を与えられた格好です。

岩沢:ある程度、こちらの思惑通りに運ぶことができましたね。

Kさん:ありがとうございました。

岩沢:いいえ、今までKさんが真摯に取り組まれてきたことや、みなさんがしっかりと準備にご協力してくれたおかげです。

Kさん:これからはどうしたらいいのでしょうか?

岩沢:おそらく、また団体交渉を申し入れてくるでしょうね。ただ、今回の話で巻き返すことはそうそう簡単ではないとわかったはずです。まずは相手の出方を待ちましょう。

Kさん:わかりました。

・・・・・

先方もさすがにこれで引くわけにはいかないでしょう。近いうちに返事があるに違いありません。。。。

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